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大きな月の中のアン・ラパンに捧ぐ
私は、もう、ずっと夜を追いかけていた。
初めて出会ったのはいつだったか。
宮沢賢治の銀河鉄道の夜だったかもしれない。
志賀直哉の暗夜行路だったかもしれない。
サン・テグジュペリの星の王子さまだったかもしれない。
日本昔ばなしできいた七夕伝説だったかもしれない。
夜、星、銀河
すべて美しくて、儚くて、切ない。
私は、もう、ずっと夜を追いかけていた。
でも追いかけ続けるのに少し飽きたかもしれない。
私は、私のこの両足で夜を捕まえる勇気があるかもしれない。
試さなくちゃ
調べなくちゃ
愛さなくちゃ
美しい夜
儚い夢
切ない希望
全部抱えて、夜に近い屋上から、重力に従おうか。
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